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うさ太郎と万年筆

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買ってから3ヵ月あまりたった昨日、ようやく万年筆にインクを充填することができました。ペン先を調整していただいたのは今回が初めてです。不満のあったペンがいったいどんな書き心地になっているか不安と期待が入り交じった気持ちでした。いつも使っているツバメノートの新しいページを開いて最初に書いた文字は「うさ太郎」。紙においたペン先から必要充分の量のインクが出てきて、ペンが気持ちよく紙を滑ります。調整前の欠点はすべて解消されていました。

9月の終わり頃に買った万年筆『プロフィット21』。万年筆は工業製品でありながら、その書き味に個体差が多く存在すると言われます。お店で購入すれば店頭で試し書きをして納得するものを選ぶことができますが、懐ぐあいが寂しく値段の安さから、多少のリスクを覚悟のうえ今回はネットで購入しました。

届いた日にさっそく製品に付属のインクカートリッジを挿して試し書きをすると書き出しかすれがあり、また中字にしては線幅が細い。少し力をかければ中字の線は出るけれど、力を入れずに製品の線幅がでるのが万年筆の魅力の一つなのにそれが実現できないのは残念です。そこでメーカーに電話するとペン先の調整をしてくれるというのでサービスセンターに送りました。

実はしばらく前からセーラー万年筆で、筆記時に手が滑りにくい梨地軸の中字の万年筆を探していました。プロフィット21梨地は私のお小遣いで買うには少々高いものでしたが、自分にとって長く使い続けられる万年筆になると思われました。また、うさ太郎が病に伏していてもうあまり長くないというときであったので、この時期に購入すればうさ太郎が亡くなっても万年筆を使うたびにうさ太郎を想うことができるんじゃないかなと考えたのです。

病に耐えて頑張ったうさ太郎は10月16日の朝9時20分頃、僕たちの前で静かに息を引き取りました。12歳と4ヵ月でした。辛いことですが業者に連絡し、翌日の午後に火葬が決まりました。

翌17日の午前。私たちは自宅でうさ太郎と最後の時間を過ごしていました。そのとき玄関のベルが鳴り、宅配便が届きました。セーラー万年筆に調整に出していた万年筆が調整を終えて帰ってきたのです。メーカーに送ってから2週間たっていました。いつ戻ってくるか不明だったのですが、うさ太郎と最後のお別れをしているときに万年筆が手元に帰ってきたのです。うさ太郎がその姿があるうちに手元に戻してくれた。なにかそんな運命的なものを感じてしました。万年筆を箱から取り出しうさ太郎のそばに置いて、「ありがとう」と声をかけました。

私のプロフィット21は、うさ太郎との想い出の万年筆になりました。

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